読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

makistove315

まきすとーぶさいこー

「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論 ~簡略的書評~

AI時代の到来

AI発達により仕事がなくなると言われて久しいが、徐々にその時代はやってきている。siriやビッグデータ等々。さらには自動運転、店員のいないコンビニ(AmazonGo)ありとあらゆる分野で、今まで未来のものだと思っていた「AI」を現実に感じる機会が増えてくるはずだ。

google創業者ラリー・ペイジは次のように述べている。

 

「あなたが望むかは別として、必ず起こる未来だ。」

 

そのことに気がついている人は、すでに行動に移しており、きたる人工知能による人類統制時代に備えている。

気が付いていない人は、旧態依然の旧社会の旧式単純作業のプロフェッショナルになろうと必死にもがいている。これらの旧社会に生きている旧式の人物は一目瞭然。この時期、駅でリクルートスーツに黒髪の人物を見かけたら、そいつが旧式の人物だ。地獄のレッドオーシャンで終わりのない消耗戦に竹槍一本で突入するつもりの人々だ。新社会人よ。本当にそれでいいのか。

或いは経団連の中堅会社員で、職務内容が「マネジメント」オンリーの人物。そして大半の公務員。医師、弁護士会計士。

一言でいうといくらでも代わりが利く無難な人物。

オックスフォードが「10年後になくなる職業」とかいって発表していたが、おそらく10年も掛からない。「こいつ、いらないな」と思った瞬間に淘汰される。そのようなカオスな時代が間もなくやってくるのだ。ワクワク。

 

 

ホワイトカラーだからだいじょうぶ?

現在大企業のホワイトカラーだからと胡坐をかいて、AIによる仕事の淘汰など無縁だと思っている「チーズはどこへ消えた」のポンコツねずみと同じ状態の人物は、おそらく10年後ひーひー言っている事でしょう。ホワイトカラーにも色々あって、大半が生き残れない。スーツを着ている=ホワイトカラーではない。会社に定年までしがみ付こうと、愚かな幻想を思い描いている人物は、残念ながら淘汰されてしまう。

ここまでホワイトカラーの話を続けてきて言い遅れてしまったが、ブルーカラーはほぼすべて消えると思って間違いない。

単純作業というのは代わりが利くためすぐにAIにその仕事を奪われる。

 

じゃあ、生き残るためにはどうするべきか。具体的方法論を示したのがこの本だ。

時代の流れはとてつもなく早い。

イーロンマスクがテスラモーターズを立ち上げて14年。

ヘンリー・フォードがフォードモーターを立ち上げて114年

100年先輩のフォードは、後輩のイーロンという若造に時価総額で抜かれてしまった。100年かけて積み上げてきた信頼と実績は、信念と志をもった、たった一人のイーロンという人物に越されてしまった。

10年後も必要とされる人物になるためには、少々視点を変えなけらばならない。一言でいうと「代わりの利かない人物になる」ということであるが、そのことについてもう少し深く掘り下げて説明しよう。

 

・・・

 

「タレント」の時代 ~酒井崇男著~簡略的書評

  1. トヨタの成功?
  2. タレントとプロフェッショナルの違い
  3. 今の日本企業に必要な人材戦略

 

1.トヨタの成功?

 トヨタの成功論について論じるのには少々抵抗がある。なぜなら、刺激的な価値を提供してくれない企業であるためだ。ホンダがオデッセイでミニバン市場を開拓したならば、トヨタも負けじと80点の使い勝手の良い無難な車を作ってくる。ホンダがフリードでミニバンよりもワンサイズ下のものを出して成功したら、トヨタも負けじとシエンタを出してくる。利益の出し方は上手いが消費者の感情を揺さぶることはできない。若者は金を使わないといわれているが、意外と衝動買いをしたりするものだ。いつまでも他社のヒット商品にKAIZENを掛けて逃げ続けていては、消費者に見放されてしまう。その日はある日突然やってくる。シャープのように・・・

 

では、トヨタが今のところ一人勝ちを続けている最大の要因は何かというと、

「売れるモノを売れる時に売れる数だけ」生産する

という点だ。

売れるものをできるだけ生産する。ではない。

過去に売れたものを生産する。ではない。

上記文章は一文字も変えてはならない。まず売れるものを作らなければならないが、その点は他の日本企業にも可能であろう。ここで差はあまりつかない。最も差がつくのは、売れる数だけ生産する。という点だ。

三菱なんかは在庫を最低2週間は溜め込んでいる。ホンダも先に作って、現場の販売ディーラーが必死こいて客に売りつける。トヨタの在庫は3日だ。客から注文が入ってから生産を開始する。この点が大いに違う。

また、トヨタ生産方式の目的は企業の運転資金の最小化である。現場からトップまで地道な業務改善が体に染みついているが、これは利益のためではない。ここで浮いた分を次に向けた開発費に向けられている。

ほかとの決定的な違いがここだ。工場作業者にしろ、経費削減にしろ、徹底的に削って出た利益を株主に持っていかれると分かっていたら、そんなちんけな動機でコストを削りたくはない。削った分を次の研究開発費に向けるとなると、少しは変わってくる。

そして、莫大な研究開発費を使って更なる良質なクルマを世に出していくのだ。

 トヨタの社員から言わせると、いやわが社はそんなきれいな企業ではないとか言い出しそうだが、これだけは言わせてほしい。他よりマシだと。

トヨタのクルマは心を揺さぶりはしないが、使いやすさは抜群である。結局トヨタを買ってしまうのだ。女性に例えると一目ぼれしたモデル級の美女ではないが、見た目が普通の穏やかな笑顔が似合う女性だ。会話のテンポが一緒でどれだけの時間を過ごしても不満を感じない。結婚相手としては最適な女性、それがトヨタだ。トヨタは「うだるような熱い夏のワンナイトラブ」を目指すのではなく、「生涯を共にする結婚相手」を目指しているのだ。

トヨタは他社との恋愛の駆け引きは負けてしまったかもしれないが、最終的に結婚相手として選ばれている。それでいいのだ。一時的にテスラS美女に一目ぼれをして鼻の下を伸ばしながら、夜遊びを拗らせたトヨタユーザーも、結局はテスラの使い勝手の悪さに、トヨタに戻ってきている。それでいいのだ。

売れる車を作るという点を徹底している点がトヨタの勝因であるが、では、売れる車をどうやって作るか。これには本書のいうところの「タレント」社員を上手く活用する必要がある。ではタレントとは何か。次で述べよう。

 

 

2.タレントとプロフェッショナル・スペシャリストの違い

タレントという言葉を聞くと、我々日本人はテレビに出てくる芸能人のことを思い浮かべる。本書では、「組織の中で利益を生み出すことのできる、価値創造の中心人物」のことをタレントと呼んでいる。

ある意味芸能人も価値を創造しているため、本書の言うところのタレントと被る部分もあるだろう。代わりが利かない存在という部分も同様。私が最近過大評価気味の個人的に気に入っている芸能人三四郎も、お笑い界に新たなる価値を吹き込んでいるため、お笑いという組織において、お笑いという利益を生み出すことのできる唯一無二の存在であることは間違いない。いずれ三四郎相田第二弾を書こう。

本稿は簡略的書評であるため、本項は一言で終わらせよう。

 

タレント・・・組織の中で新たな価値を創造する人物

プロフェッショナル・・・ある特定分野、課題を間違いなく熟す人物

スペシャリスト・・・ある特定分野の知識技能に秀でた人物

 

 

3.今の日本企業に必要な人材戦略

東芝、シャープ、ソニー・・・

かつての名門が凋落していく姿を、同社がつい先程製造したばかりのテレビで傍観するしかない昨今。入りたくてもなかなか入れない所謂優秀な奴らしかいない筈の名門企業。なぜこんなことになってしまったのか。おそらくその鍵となるのが人材戦略だ。

名門企業の社員はおそらく、生まれた時から会社が潰れるまで、勝ち続けてきたことでしょう。学業は常にトップ。受験に就職活動も大して苦労せず、合格しても、「あ、そう」といった感じの人が多いのではないだろうか。なぜなら、自分は優秀であるため合格は当然のことであり、できて当たり前のことに対して、わざわざ感情を爆発させないのだ。

大魔神佐々木投手が、毎試合当たり前のように三振を奪い、その度にわざわざ表情を変えないのと同じだ。勝って当然と思っているためだ。中東の競馬場で自身の所有する馬が勝利した後、現役時代には見たことない程感情を爆発させ、飛び跳ねて喜んでいた同氏の姿は、なぜかこちらもうれしくなってしまった。

 

少々脱線したが、そんな名門企業に採用された優秀な社員は、間違いなくプロフェッショナル若しくはスペシャリストだ。日本一優秀な人材が集まっているにもかかわらずこれを上手く活用できるタレントがいない。また、会社としても組織がタレントを排除する空気だったのではないだろうか。人材戦略の方向性がズレていたのだ。

 

タレントをいかに生み出し、いかにして自由に活躍できる場を設けるか。

おそらく、大半の既存の会社では無理だ。切腹文化がこびりついている我が国では、会社の雰囲気を変えるのは不可能に近い。追い込まれたら切腹に逃げるのだ。会社が潰れるまで、社風は変わらない。会社に違和感を感じたら、即座に逃げ出して自分の居場所を見つけるべきだと、個人的には思う。

 

これからの時代は、タレントを目指すべきであり、タレントが活躍できる企業に就職するべきである。そのような企業を見つけ出す能力も、タレントの要素の内の一つであろう。

 

 

「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論 (講談社現代新書)

「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論 (講談社現代新書)